【Vol.51】全国で街の新しい価値をつくる。5G時代にNTT都市開発とリノベるの協業がめざすこと。

2020.03.31
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【Vol.51】全国で街の新しい価値をつくる。5G時代にNTT都市開発とリノベるの協業がめざすこと。

2019年11月、リノベるはNTT都市開発株式会社と資本業務提携を行いました。NTTグループの保有する資産活用をはじめ、新たな街づくりの実現に取り組むNTT都市開発とのパートナーシップにより、リノベーション事業の拡大を推進、ICT(情報通信技術)を活用した新たな商品・サービス開発の加速を狙います。今回の提携を機にリノベる社外取締役に就任した浜地健二郎氏と、リノベる統括執行役員の三浦隆博が、両社の相乗効果によって広がる可能性や今後の取り組みについて語りました。
※撮影場所:NTT都市開発株式会社 本社(秋葉原UDX)

■プロフィール


浜地 健二郎 Kenjiro Hamachi
リノベる株式会社 社外取締役(NTT都市開発株式会社 経営企画部 経営企画担当 担当部長)
大学卒業後、株式会社日本興行銀行に入行。その後、みずほ証券株式会社で債券ディーラーとしてセカンダリーマーケットに携わった後、J⁻REITの黎明期から不動産証券化、キャピタルマーケットに従事。以降一貫して不動産やファンドに関連したファイナンス、投資業務に携わる。2016年にNTT都市開発株式会社にジョインし、2020年2月、リノべる株式会社社外取締役に就任。

 


三浦 隆博 Takahiro Miura
リノベる株式会社 統括執行役員
個人向けワンストップ・リノベーション事業、遊休不動産のリノベーションを手掛ける都市創造事業など、リノベーション事業全般における統括責任者。住宅ローンのオンラインマッチングサービスを手掛けるモゲチェック・リノベーション株式会社の代表も務める。直近ではリノベーション再販事業者向けに「選んでつくれるリノベ済みマンション『ARリノベ』」を開始。

「リノベるは、テクノロジーと“生身”の絶妙なバランスを保つ企業」

まず、リノベるについてどんな印象を持っていますか?

浜地
ひとことで言うと「テクノロジーと“生身”の絶妙なバランス」を持つ企業だと思います。人の感性が求められる不動産という“リアル”な世界に、積極的にテクノロジーを取り入れて進めていますね。
テクノロジーの活用は、お客様向けと社内向けという両軸で多面的かつ積極的に推進し、特にサービスや仕組みの面で効率化を実現している点が、非常にユニークであり革新的だという印象があります。

リノベるは技術革新を推進する一方で、人の感性が求められる実務部分においては、実績と経験豊かな社員のアイデアやノウハウを最大限に発揮している。そうしたところを、一緒にプロジェクトに取り組む中で実感しています。特に「お客様との対話」を重ねながら、細かなところまで徹底的にこだわりを見せるところは、いわゆるテクノロジー企業とは違う、“生身”の部分を持つリノベるならではと感じます。

その2つの側面を持つことで、どんな利点が生じているのでしょうか?

浜地
テクノロジーの活用と、テクノロジーでは置き換えられないデザインやアイデア、対話といったことをバランス良く組み合わせることで、効率性や生産性の向上を図り、それによって生じた余力を注力すべきところに投下できています。具体的には、お客様により良い提案ができたり、コスト削減につながっていたりという点です。また、お客様だけではなく社員の満足度も向上させています。

社外取締役になる前は、リノベるの技術的な側面を見ていましたが、一緒に取り組む中で人の“生身”の部分こそがリノベるの「力の源泉」になっているのだと、改めて感じています。

三浦
そうですね。家づくりにおいては、テクノロジーを取り入れれば取り入れるほど、人の感性など“生身”の部分が大事になると考えています。

浜地
効率性を追求すべきところは徹底的にテクノロジーを活用して、生まれた余力を本来かけるべき創造の力へと振り分けていく。そのバランスの良さがリノベるの強みですね。

NTT都市開発とリノベるの共通点についてはどう思いますか?

浜地
ワンストップ・リノベーション(※1)のナンバーワン(※2)企業であるリノベるは、BtoC、つまり個人のお客様向けサービスを行う住宅リノベーション企業という印象が強かったのですが、提携後にオフィスや店舗、ホテルなどあらゆる不動産資産にフレキシブルに対応できる人材とノウハウを持っている点に改めて注目し、BtoB領域においても大きなポテンシャルがある企業だという印象を強めました。こうした点で、NTT都市開発と親和性が高い領域を有していると感じます。
リノベーションのプロフェッショナル集団のリノベるとNTT都市開発との組み合わせは、一見すると異質に見えるかもしれません。しかし、根本のものづくりへのこだわりや熱意には共通するものがあります。
価値観や考え方に共通する部分が多く、プロジェクトを進める上でも相性がいいなと実感しています。その一方、テクノロジーの活用といった面では、NTT都市開発がリノベるから学べる部分は多いですね。そうした側面でも協業できればと思います。

※1「ワンストップ・リノベーション」とは、物件探し・資金相談・設計・施工・アフターフォローまで一貫して行うリノベーションサービスのこと
※2 ワンストップ型リノベーション件数(リフォーム産業新聞社刊『中古住宅市場データブック2015』)

三浦
通信インフラ最大手のNTTグループが、大手でありながら積極的に技術革新に取り組んでいらっしゃる点には、リノベる代表の山下も感銘を受けておりました。「誠実に、革新的に」というNTT都市開発の企業理念にも強く共感しています。

浜地
そうですね。確かにNTTグループではスマートオフィス化など革新的な取り組みを進めていますが、サービスや仕組みの効率化といった面では、リノベるが先行している部分が多いと思います。そうしたテクノロジーの活用に関しては見習いたいものがあります。

三浦
リノベるでも試行錯誤しながら進めているところなので、一緒に取り組めればと思います。

街づくり事業をより強化するために資本業務提携へ

2019年11月にNTT都市開発とリノベるが資本業務提携した狙いについて、改めて教えてください。

浜地
NTT都市開発はNTTグループの総合不動産デベロッパーで、オフィスや住宅、商業、ホテル等、多様なアセットタイプの開発や運営を行っています。また、築古賃貸住宅の一棟リノベーション分譲、京都の商業施設「新風館再開発計画」(※3公立小学校をコンバージョンしたホテル(※4)といったプロジェクトを進めるなど、既存ストックの利活用を積極的に行ってきた実績があります。

そうした状況において、NTTグループでは昨年7月、街づくり事業の窓口として「NTTアーバンソリューションズ株式会社」を設立しました。街づくり会社として、顧客ニーズの多様化、NTT保有資産を含めた社会的ストックの利活用などにスピーディーかつフレキシブルに対応していくためには、リノベーション事業やコンバージョン事業を強化していかなければと考えました。
人的なリソース面等の観点で、外部との連携を検討していた時に、実績とノウハウを持つリノベるとの提携の可能性が浮上してきたのです。

※3 京都市指定・登録文化財である旧京都中央電話局を活用した新風館再開発計画。2020年4月16日開業予定
※4 旧京都市立清水小学校の跡地を活用し、ホテル「ザ・ホテル青龍 京都清水」にコンバージョン(用途変更)。2020年3月22日開業

リノベーションやコンバージョンの事業強化にはどんな背景があるのでしょうか?

浜地
「NTTアーバンソリューションズ」の事業がスタートし、NTTグループとして本格的に街づくりに取り組んでいく体制が整ったところで、NTT保有資産を利活用する術として、リノベーションやコンバージョンの事業を強化していく必要性が高まりました。
以前からリノベーション、コンバージョンに取り組んできましたが、これからは案件ごとに、街づくりのためにどうするのがベストか、ケースバイケースで考えていかなければならないと考えています。取り壊して大きなものにつくり替えていく方が街の発展につながるケースもありますし、歴史あるものを大切に残していく方が地域に対する貢献になって賑わいを生むケースもあります。
スクラップ&ビルドだけではなく、既存のものをうまく活用する選択肢を持つ必要性がありました。

街づくりにおいては、新しいものを生むだけはなく、リノベーションやコンバージョンの手段も強化していかなければならないわけですね。

三浦
元々、リノベるは個人住宅のワンストップ・リノベーションのイメージが強いですが、ビルや社宅等の一棟リノベーションの事業もあり、年々拡大させてきました。
資本提携の前から、関西エリアでNTTグループの社宅の有効活用案件の設計・施工をリノベるが行うなどの取組みがあったことも資本提携のきっかけの一つになりました。

浜地
NTTアーバンソリューションズが発足したタイミングで、お互いの向いている方向がマッチした感じですね。

三浦
リノベるとしては、NTT都市開発をはじめNTTグループと連携しながら、NTTグループによる保有不動産利活用の取り組みをサポートさせていただき、その土地や建物の歴史や背景も考慮した、地域に溶け込み「街の新しい価値」になる街づくりの案件をともに手がけていければと考えています。

全国で「街の顔」となる賑わいの場をつくっていく

提携による相乗効果や今後の取り組みについてはいかがでしょうか?

浜地
具体的な取り組みとしては、リノベーション事業・コンバージョン事業の拡大強化、NTTグループの保有資産の利活用、分譲マンション等のICT(情報通信技術)を活用した新たなサービス開発などを進めていきたいと考えています。
NTTグループ各社との連携・調整が必要になりますが、グループの保有する不動産資産は中小規模のものも多いため、立地の特性を踏まえた最適な活用手段を考えるところから一緒に取り組んでいきたいと思います。

また前述の通り、リノべるの強みは住宅だけでなく、オフィス、商業、ホテルなど様々なアセットタイプに対応できる引き出しの多さだと思います。そしてリノべるの経験・ノウハウは、リノベーションに限定されるものではなく、新築でも十分に活かすことができると感じています。エリアにマッチした事業プランをリノベーションに限定せず新築を含めて多面的に検証し、コンセプト・内装デザインなど企画段階から協同して検討して行くような取り組みもできると考えています。

三浦
リノベるの都市創造事業(※5)のコンセプトは「まちの新しい価値になる。」
都市の“文脈”を踏まえていることを大切に考えて事業を行なっているので、初期の検討段階で頂けるご相談は腕が鳴りますね。
また、東京だけでなく全国で展開したいですね。全国にいるリノベるのパートナーの協力を仰いだり、リノベーション業界の仲間達を巻き込みながら各地で進めていきたいと考えています。

※5「リノベる都市創造事業」…既成概念にとらわれない多様な暮らしの新体験を提供する場を、不動産再生事業を通して創造。企画・建築設計・施工・運営を一貫して手掛けて人が集まる空間をデザイン。街の魅力を高め、街と人をつなぎ、未来に続く価値を生み出す。

浜地
加盟店さんを含めて、全国にパートナーネットワークを持つのがリノベるの強みですね。NTTグループが各地で街づくりに取り組むにあたって、そうしたネットワーク力が大きな力となります。

三浦
各地域でものをつくる、リノベーションするというだけではなく、その地域をいかに巻き込むか、その地域にいかに根付かせていくかが大切です。ネットワークやテクノロジーだけではなく、「人の力」というソフト面でのリノベるの強みを活かしていきたいです。

浜地
かつては、既存用途がオフィスなら「オフィスとしてどう使うか」という限定的な発想で取り組むケースが多かったと思います。地域の環境、人の流れや志向も変わっている今、「何が必要とされているのか」を見つめ直して最適なものへとコンバージョンしていく。それが「街の顔」として賑わいを取り戻すことにつながればと思います。

三浦
リノベるのパートナーには「地域に貢献したい、社会に還元したい」という気持ちを強く持つ企業が多くいらっしゃいます。みなさん、地域活性につながるような一棟ビルのリノベーションに高い関心をお持ちです。

浜地
そういった前向きなパートナー企業とのコラボレーションやマッチングができるようになれば、面白いですね。

三浦
「つくって終わり」ではなく、地域に根付いていきたいと思います。以前、NTT都市開発の楠本副社長に「インフラ会社として、全国のインフラ整備を牽引してきたNTTだからこそ、やらなければいけない」と言われたことがあります。その言葉に我々リノベるは共感してギアを強く踏み込み、協業検討を加速させています。

浜地
NTTグループの施設は好立地にあることが多いので、地域の賑わい創出に貢献できるよう取り組んでいきたいと思います。

ICT活用で付加価値を届けたい

浜地
先ほど住宅のICT(情報通信技術)活用の話も出ましたが、ICTノウハウやリノベーションで培ってきたアイデア・プランニング力をうまく活用しながら、「新築」でも商品企画を一緒に検討していければと考えています。

他社と同じものや画一的なものをつくっても面白くないですよね。例えば抽象的ですが、全体では統一感がありつつも、個々で見るとオリジナリティを持っているなど、お客様から選んでいただけるような付加価値がある企画を住宅部分でも考えたいです。

三浦
リノベるでは、住宅リノベーションでテクノロジーを活用し、簡単に理想の住まいのデザインを具現化できるデザインテイスト自動提案オンラインサービス「sugata」や、AR(拡張現実)を活用した「選んでつくれるリノベ済みマンション」向けのサービス開発を進めています。そうした企画やサービスは中古住宅のリノベーションに限らず、新築や賃貸にも応用可能だと考えています。
なぜテクノロジーを使うかというと、「理想を具体化するのが難しい」「手間がかかる」という印象をお持ちのお客様が多く、つくり手側としても、設計や提案内容が個人スキルに依存するところがあるためです。リノベるではお客様の「わかりやすさや楽しさ」を実現したいと考え、テクノロジー活用を進めてきましたが、NTTさんの新築物件や賃貸物件を始め、様々な分野で使えれば、可能性がどんどん広がっていくと思います。また、リノベるが力を入れているスマートホームの提案などもリノベーション、新築問わずできますね。 

5Gの高速通信技術を導入すれば社会や地域が変わる

両社の取り組みで具体的に進んでいる案件はありますか?

浜地
最近、当社所有の既存オフィスのリノベーションと新築オフォイスの内装デザイン・施工を同時に設計・着工しました。
それ以外でも、検討に着手した案件は多いですね。住宅、オフィス、店舗など、考えていた以上に多様な不動産領域を手掛けています。エリアも東京、関西、その他地方都市など様々です。想像していなかったほど、あらゆる角度からの案件が出ています。中には時間が掛かりそうなものもあり、丁寧に進めながら、その一方で短期に仕上がりそうなものについても織り交ぜながら、色々なバリエーションで進めている状況です。

三浦
新しい提案の詰まった一棟リノベーション案件など、出来上がるのが楽しみな案件が多いですね。NTT都市開発を超えてNTTグループ全体にもシナジーを広げていければと思います。
例えばARを活用した住まいづくりを、5GとNTTドコモの「Magic Leap 1」(臨場感ある仮装現実等を体感できるウェアラブルヘッドセット)を活用して、もっとお客様がわくわくするような住まいづくりの体感サービスとして発展させることも。我々が持っていない、NTTグループの技術や知識、ノウハウを勉強させて頂く機会が増え、アイデアが広がります。

5Gが普及することで、大きく変化することはどんな点ですか?

浜地
5Gが実現すると、複数箇所を同時に高速通信でつなぐことができるので、生活スタイルや働き方が大きく変わっていく可能性があります。また、福祉サービスや教育サービスなども提供しやすくなると考えられます。
NTTグループではeスポーツの会社を設立しましたが、5G を利用したeスポーツは、街おこしや賑わいの創出、福祉のためのコンテンツとしても期待されています。eスポーツはもちろん、5Gを活用したサービス提供を盛り込んだ場所づくり、施設づくりを進めていきたいと考えています。そうした場所には、あらゆる世代が集まってくると思います。

三浦
そのような場所を提供することで、地域社会の福祉、ヘルスケアなどの領域も変わっていきますね。
新しい生活スタイルや働き方といった点では、リノベるが出資している多拠点居住サービスを展開する「ADDress(※6)の拠点開発も進めたいです。NTT都市開発の保有する一棟ものの案件に、コワーキングスペース、コミュニティスペースや店舗等複合的に組み合わせながら、新しい関係人口創出の場をつくっていきたいと考えています。
※6「ADDress」定額制で全国の家に自由に住める多拠点居住サービスのこと。株式会社アドレスが展開し、多拠点居住による関係人口創出による全国創生、空き家問題解決を狙う

住まいは「自分の好みを演出できる空間」

最後に、浜地さんご自身の住まいに対するこだわりを教えてください。

浜地
「自分の好みを演出できる空間」、それが住まいだと感じています。リノベーションはそれを実現する手段のひとつ。間取り、色合い、ライティングなどの組み合わせで、同じ場所でも異なる空間をつくり出すことができます。さらに、グリーンや小物、アートなどのアレンジで変化を加えられる。自分好みに仕上げた空間はリラックスできますし、生活の活力が生まれます。
空間を箱としてとらえるのではなく、「生活をより楽しく豊かにするもの」としてどう演出するかは重要と考えています。
空間をどう演出するかは、住まいだけでなく建築全体で言えることですね。過ごしやすい場であれば人が集まってきますし、落ち着く場ならそこに長く滞在したくなります。

個人的にはナチュラルなものが好きなので、自宅には大小様々なグリーンを部屋の隅々に置いています。本来アウトドア派ではありますが(笑)、緑の気配を感じながら家でくつろぐ時間が結構好きです。家の片隅などちょっとしたスペースに置く小物次第で季節の移ろいを感じることもできます。味付けをちょっと変えるだけで、暮らし方が素敵に豊かになりますね。

三浦
手を入れるということって、リノベーションに通じるものがありますね。“暮らしを育てていく”ということですね。

浜地
経年劣化ではなく、経年優化させていきたいですね。インテリアをちょっと変えるなど住まいに手を入れていくことで「暮らしを素敵に」変えられると感じています。

(撮影:白根美恵)

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