【Vol.54】柔軟な発想で、ニーズや価値観の変化に対応。 リノベる設計・施工チームが考える、これからの住まいのあり方

2020.07.10
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【Vol.54】柔軟な発想で、ニーズや価値観の変化に対応。 リノベる設計・施工チームが考える、これからの住まいのあり方

家の滞在時間が従来に比べて長くなっている今、生活空間だけでなく働くことを想定した住空間として住まいに求められるニーズが大きく変化しています。実際にお客様と向き合いこの変化をいち早く察知、対応を進めている、設計・施工部門・勉強会グループのリーダーを務める山神達彦に話を聞きました。(撮影:白根美恵)

■プロフィール

山神 達彦 Tatsuhiko Yamagami
リノベる株式会社 リノベーション本部 首都圏設計・施工部 デザイン1課 課長
一級建築士

大学院卒業後、三井不動産リフォーム㈱にて戸建・マンションのリフォーム設計・施工の経験を経て2016年リノベる入社。
マンションリノベーションを中心に戸建一棟リノベの設計施工に従事。
設計・施工部内で勉強会グループ「AFDL(After Five Design Lab)」を立ち上げ、メンバーの育成とリノベ研究に取り組む。

Q.新型コロナの影響で、多くの人が家で過ごす時間が増えています。実際の現場で感じる、お客様の住居に対する意識・ニーズの変化について教えてください。


これまでもリノベるのお客様の中には在宅ワークに対するニーズは一定数存在し、ワークスペースや書斎を設計した事例も数多くありました。在宅ワークが増えた今、お客様のワークスペースへの意識・ニーズは圧倒的に高まったように感じます。また、これまでは、持ち帰った仕事や家事、ちょっとした作業、子供の宿題などを想定し、リビングの一角やキッチンカウンターの一部を利用した「オープンタイプ」のワークスペースのご要望が多くありました。一方、withコロナ以降のニーズとしては、事務作業だけでなくオンライン会議や外部との電話のやり取り、家族も同時に仕事をしているというシーンが増えたため、音の遮断、集中という観点で「個室・半個室」のワークスペースのニーズが高まっているように思います。
従来の住宅改修のトレンドは、どちらかというと間仕切りを減らし、部屋を広げていく「脱個室化」の傾向にありましたが、現在「個室回帰」の流れを感じています。回帰といっても、いわゆる個室とは異なり、1畳とか2畳の小さな空間。新しいニーズが生まれています。

Q.ワークスペース以外のニーズの変化について教えてください。

まず物件ニーズの変化については、これまでの職場へのアクセスを優先した物件選びから、「物件の広さや周辺環境の良さ」を重視した選び方への変化が見られます。つまり、通勤利便性重視から住環境や暮らし重視の視点に変わってきたのではないかと思います。もちろんエリアへのこだわりがなくなることはないと思いますが、在宅ワークが一気に普及したので、通勤利便性へのこだわりは相対的に低くなっていくのではないかと思われます。
ワークスペース以外の間取りについても、最近のリノベる独自の調査結果に見られるように、在宅時間が長くなったことで、家での過ごし方もより多様になり、「趣味スペース」やリビング以外の「くつろぎスペース」づくりのご要望が増えています。

Q.様々なニーズの変化を受けて、リノベる。設計・施工チームとして取り組み始めていることについて教えてください。


「住宅に求められるニーズ」は時代の流れとともに常に変化を遂げていますが、今さらにその流れが加速していると社内で捉えています。先日、リノベる社内で関東・関西の設計・施工部門の代表メンバー約20名で「ワークスペースのあり方に関するワークショップ」を開催しました。例えば「事務系」「営業系」「クリエイティブ系」「メディア系」など様々な職種や家族形態のお施主様を想定し、それぞれのライフ&ワークスタイルに合った住まいのあり方について、メンバー間で意見交換やアイデア出しを行いました。部屋の間取りにおけるゾーニングのあり方や、家具や周辺の居室との関係性を考慮した空間の作り方、可変性を考えた造作家具の設計など、さまざまなアイデアが出ました。
また、今回のワークショップのほか、社内のワークスペースの施工事例を分析・整理を行うワーキンググループをつくり、在宅ワークに対応するワークスペースのナレッジ構築を進めています。

Q.いち生活者として、ご自身の住まいにおける工夫について教えてください。

私の家は、ちょうど半年前に物件購入とリノベを行ったのですが、もともと家族が在宅ワーカーだったため、自宅の作業環境を十分に想定した設計を行っていました。
まず重要視したのは家の「照明計画」です。住宅の照明環境は、仕事をする事を想定した設計にはなっておらず、照明の色味も仕事に集中できる環境というよりも、くつろぎを感じられる電球色になっていることがほとんどです。
我が家は、スマート電球(hue)を採用することで、利用シーンに合わせて「調光・調色」したり、照明環境を変えられるようにしています。例えば、仕事の時には集中しやすい「昼白色」で点灯し、オフの時間は「電球色」を点灯するようにしています。リビング・ダイニングスペースは、天井と壁面の2面に間接照明を設け柔らかい光ながら部屋全体の「照度」を確保するようにしています。こちらも「調光・調色」が可能です。また、それらのIOT機器をAIスピーカーと連動させることでスマートホーム化しています。

間接照明とスマート照明を組み合わせ、利用シーンに応じて色温度(色味)、照度を調整


ロボット掃除機なども連携させて掃除を半自動化することで、いつもきれいに保てるようにしています。もう一つの工夫としては、家の中でも気分転換が出来るよう、ベランダにウッドデッキを敷き、家具を置き、くつろげるスペースをつくったことです。在宅ワークが日常化すると、集中環境をつくることと同じぐらいくつろげる環境をつくることが大切になると感じています。在宅ワーク前提の住まいづくりでは、「気分の切り替え」のための仕掛けも提案していきたいなと考えています

(左)造作家具の下にスマート家電の収納スペースを計画、(右)ベランダを改装して家の中での気分転換の場に

Q.最後に、リノベる。設計・施工チームとして今後の動き、展望を教えてください。


今後、住宅設計は大きくシフトチェンジしていくと思います。これまでファーストプレイスとしての住宅機能だけを追求していけばよかった時代から、職場などのセカンドプレイスやサードプレイス等も考慮した家づくりを考えていかなければいけなくなっていくと思います。その為、オフィスなどの職場環境の設計をしてきた企業との協業や、新たな住宅モデルの開発、スマートホーム化にむけてリノベる全体で取り組んでいく予定です。

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