【Vol.36】リノベるに経営力を―管理本部長 千田浩一が目指す“バランスの取れた成長へ”

2019.03.15
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【Vol.36】リノベるに経営力を―管理本部長 千田浩一が目指す“バランスの取れた成長へ”

表に出る機会は決して多くはないものの、リノベるを陰で支えているのが管理本部。第二創業期ともいうべきフェーズを迎えた当社において、その重要性はより高まっています。そして、このタイミングで新たに管理本部長に着任したのが、さまざまな企業で管理部門を率いた経験をもつ千田です。なぜ、リノベるを選んだのか――自らのキャリアを振り返りつつ、本人に語ってもらいました。

 

千田 浩一 Koichi Senda

大学を卒業後、新日軽株式会社に入社。その後、公認会計士資格を取得し青山監査法人へ。会計士として10年超を過ごした後、事業会社の管理畑へ転身。ジェイ・マウンテンズ・グループ株式会社(CFO)、株式会社ワールド(経営管理副本部長)、株式会社シャルレ(取締役管理本部長)を経て、株式会社船場では取締役常務執行役員管理本部長として同社の株式上場を実現。2018年、リノベる株式会社へ。

会計士として会計監査やM&A業務など多様な仕事を経験

もともと大学卒業後に建材の営業として建設関連の仕事を担当していたのですが、より専門性のある仕事に就くために退職して会計士を目指すことに。試験合格後に青山監査法人に入所しました。当時、プライスウォーターハウスという国際会計事務所との提携関係があったこともあり、外資系企業や日本企業の海外展開に関するプロジェクトを担当することが多かったですね。米国会計基準により決算を行う総合電機メーカーや外資系コンピューターメーカーの会計監査、大手自動車メーカーのNY市場上場プロジェクトに参加するなど非常にいい経験をさせてもらいました。

7年強の会計監査業務の後、部門移動し主にM&Aのプロジェクトに係るようになりました。当時、金融行政の影響もあり金融機関の不良債権処理が進められており、これを受けて再生系のM&A業務が非常に多くありました。私もいくつか大きな案件に携わり、産業再生機構による銀行融資先の財務調査や銀行自体の統合案件など、4年ほど忙しい時期を過ごしました。

監査法人にはいり11年を超えて自身40歳となり、新しい仕事に挑戦しようと退職することにしました。はじめは独立開業する方向で準備を進めていたのですが、知人から声がかかりファンドの企画していたスキー場再生会社にCFOとして参画することに。以降、一貫して事業会社の管理畑に身をおいています。

 

創業70年の老舗企業を変える

いくつかの企業を経て、直近で在籍していたのが、株式会社船場。主に大型商業施設の売場のデザイン・施工を手がける、創業70年超の老舗企業です。小売業界では、日本の高度成長期は立地が良ければ売れる状況でしたので画一的な商業施設が多く、船場でも施工中心で什器等を制作する工場も所有していました。そのため工場用地や施設購入のための借入が多かったのですが、日本経済が低成長時代に入り、より多く集客できる魅力ある商業施設建設に向けた企画の提案が求められるようになりました。これを受け、サービス内容はソフト的な内容にシフトしていき、什器等売上が減少して工場の多くが閉鎖されましたが借入金が多くのこっていました。その結果、財務体質強化に向け株式上場を目指すことに。そこで、私に白羽の矢がたちました。

入社後は、リスク管理とガバナンス強化を進めつつ、バランスシートの改善を図り上場を実現するという、大きな目標に向けて会社全体でプロジェクトを推進していきました。

創業70年で、従業員数は300人規模。平均社歴17〜18年というベテラン中心の組織です。培われてきた仕事のやり方、働き方があるだけに、“仕組みを変える”といっても簡単ではなかったです。さまざまな仕組みの見直しやモニタリング導入を行いながら、働き方を変えていく。あるいは、数字の管理のやり方をシステムの導入を図りながら変えていく。規定を変え、システムを変え、そして本社も移転して……といったことを、同時並行で走らせながらハンズオンで進めていきました。当時、30〜40くらいの規定変更を行ったのかな。上場までのスケジュールを念頭に取締役会での決定プロセスや社内アナウンス方法を意識しながら、どのタイミングで何をしていくかを、一つひとつ組み立てていきました。

今、振り返ると色々な問題があり、苦労しながら対応してきましたが、やはり丁寧なコミュニケーションを図りながら周囲を巻き込んで進めることと、やりぬくという強い意志が重要だったと思います。経営としてどこまで上場に対して強くコミットするか。もちろんそれによって課題やハレーションも生じますが、それでもあくまで「会社を上場しオープン化していくことが、自分たちにとってベストな判断である」ということを、会社全体としていかに共有していくか。個別の問題がさまざま出てきたとしても、強い意志をもってことにあたれば、必ず乗り越えられると、身をもって実感しました。

「新しい仕事、おもしろい仕事」を求めて、リノベるへ

株式上場という一つのプロジェクトをやり遂げて、次に何をしようかと考えたとき、自ずと目は外を向いていました。幸いにも担当部署では優秀なメンバーと一緒に上場に取り組んでおり、そのメンバーに仕事を渡す時期に来たと感じたからです。他の上場企業に同じようなポストのお話もいくつかあったのですが、最終的には見送りました。新しい会社で会社自体が成長していく過程に加わりたかったのです。仕事は大変かもしれませんが、相応のおもしろさがあると思ったので。

そういう意味で、リノベるを選んだのは「今までにないビジネスモデルを構築する」ということと「多彩で魅力的な経営メンバーと一緒に仕事をする」ことに惹かれたためです。リノベるの場合、ちょうどIPOを目指すタイミングということや、業種的にも近いことなどで前職での経験が活きることもありますが、やはり事業構想のスケールと山下社長はじめとした経営メンバーが多彩な経験をもった人たちで構成されていて、非常に魅力的でした。また、ベンチャー企業ならではのものごとの進むスピード感や、大きなものを変えていこうとするチャレンジスピリット、従来の慣習にとらわれない考え方など、刺激的でおもしろい仕事ができそうだなと。

IPOはゴールではない

リノベるはIPOを目指してはいるものの、私としては、それをゴールだと捉えてはおらず、一つのプロセスであり通過点と思っています。目的は会社を発展させること。そのためのベストな選択肢がIPOである、という風に考えています。会社がIPOに至るまでには、数値管理やシステム、働き方、制度や仕組みなど、さまざまな部分を変えていく必要が出てきます。どのように変えていくか、あるいは変えないべきかの判断というのは、IPOのための判断ではなく、会社にとってベストな判断であるべきです。そういう意味で、リノベるにおける私の役割とは、IPOを成功させることというよりも、会社がしっかりと成長し、社会や従業員、株主等により支持してもらえる存在となるためのアシストをしていくことだと考えています。

リノベるの経営に、バランスあるリスク管理の観点を

リノベるが目指しているのは、リノベーションの普及と浸透。それは今までの住宅市場と異なる、新たなマーケットを作るというチャレンジだと私は捉えています。会社に入って感じたことは、新しいことに対して非常に積極的な価値観、風土・文化です。会社の目指すビジョン実現にはチャレンジスピリット、ベンチャーマインドはとても大事ですが、一方で200名近い従業員が在籍する企業の経営という観点でいえば、リスク管理や効率性を重視したバランスある進め方が重要です。また「あえてその仕事を我々が今やる必要はあるのか」という視点で優先劣後を、冷静に判断していく必要があると考えています。

新しい取り組みを始めるものの、リスク点検をせずに進んでしまった結果、あとから問題が出てきて手仕舞いせざるを得なくなる。それが何度も続くと、組織は疲弊し、サステイナブルな成長は難しくなります。

そうした事態を避けられるよう目配りするのが管理本部長としての務めだと思っています。経営の観点からリスク管理を行うこと、木を見て森を見ずにならないこと、バランスのとれたリスク管理を行うことが大切だと思っています。

リノベるが掲げるミッションとそれに向けた挑戦は非常に大きく、これからの時代の生き方や社会のあり方に一石を投じようとするものです。そのためには、夢や希望を語るだけではなく、企業としてしっかりと結果を出し信頼される会社にならなくてはなりません。リノベるには、未来を描き、そこに向かって頑張る優秀なメンバーが沢山います。私は黒子役として支え、企業としてより社会に根を広げていけるようにすることで、そのビジョンの実現に貢献していきたいと思っています。

 

 

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