元SUUMOのキーマンが語る、リノベるのデジタル戦略(前編)

2018.07.20
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元SUUMOのキーマンが語る、リノベるのデジタル戦略(前編)

リノベーション業界でいち早くWEBに集中し、サービス品質向上のためのデータ活用を積極化するなど、リノベるは創業以来、デジタルシフトを念頭に置いて事業を展開してきました。近年では「リノベる。App」や「nekonote」といった独自の業務支援ツールの開発のほか、スマートハウスリノベーションの研究開発にも注力しています。

2018年度は、そのギアをもう一段、二段と上げるターニングポイントになりそうです。

今回はリノベるの今後のデジタル戦略をお伝えすべく、2人のキーパーソンをご紹介します。今年ジョインした、マーケティング執行役員の今井と、一昨年より社外取締役を務める塚本氏です。今井は元SUUMO、塚本氏は元Amazonでそれぞれデジタル領域をリードしてきたスペシャリスト。彼らがリノベるの将来をどう見ているのか――。まずは今井と、代表の山下との対談からお送りします。

今井良樹 Yoshiki Imai
2001年、株式会社リクルートに新卒入社。以来一貫して、ITおよび住宅ビジネスに携わり、SUUMOの集客からWEBサイト構築、システム開発、顧客となる不動産事業者の業務支援まで幅広く従事。2016年より、リクルート住まいカンパニー 執行役員 IT戦略統括部 統括部長として、同社のテクノロジー領域をリードする。2018年にリノベるに参画、執行役員(マーケティング担当)に就任。

SUUMOのその先を見たかった。

山下
今井さんがリクルートを離れ、リノベるにジョインして約半年ですね。率直にリノべるというチームはどうですか?

今井
風土としてはチャレンジ精神というのか、新しいものを取り入れて進化させようとする姿勢は驚くべきレベルだと感じます。もちろん、まだまだこれからだというのは日々感じていますが……(笑)。とはいえ、外部の企業からさまざまな協業のお話などいただく機会が多いのも、そうした姿勢が伝わり「リノベるとなら何か面白いことができるのでは」という期待を感じていただいているのが一つの要因になっているのだろうと感じています。

そして何より、ミッションの存在が大きい。実は私がリノベるにジョインしたのも、ミッションに心を撃ち抜かれたことが一番の理由でした。

 

リノベるのミッション。「日本の暮らしを、世界で一番、かしこく素敵に」という旗印のもと、「顧客」「社会」「産業」それぞれに対する約束を掲げている。

 

そもそも転職を考えるにあたって、「社会課題の解決」に直結する仕事がしたいという思いがありました。そしてSUUMO時代から、不動産ストックや空き家にまつわる問題には強い課題意識がありました。

その中で可能性を感じたのが、中古+リノベーションという住まいの求め方です。古くなった中古物件を元に戻して再利用しようというのではなく、新たな価値をプラスしてより良く活かそうという発想。まさに「かしこく素敵に」暮らせる世の中をつくろうという考え方であり、社会課題を解決するソリューションだと。

山下
SUUMOとしても、当然ながらリノベーションの情報を取り扱っていたわけですよね。

今井
そうですね、リノベーションのムック本を定期刊行したり。ただ、情報産業ならではのもどかしさもありました。
不動産業界に根強くのこる情報の非対称性を緩和するのがSUUMOというメディアの存在意義であり、実際に一定以上の価値提供はできたという自負はあります。しかし、メディアには社会の公器としての責任がある。産業全体をフラットに見つめる視点が前提になくてはならず、中古+リノベーションだけを推すわけにもいきません。

自分自身が可能性を感じた「中古+リノベーション」を磨き上げ、より多くの方に広めていくにはどうすればいいだろうかと考えたときに、やはり“メディアの先”にある世界、つまり住まいや暮らし“そのもの”を提供する側にチャレンジする他ないなと。

No.1企業だけが、マーケットをつくれる。

山下
その中でも、なぜ「リノベる」を?

今井
ワンストップリノベーションで、業界トップの企業だから。これもSUUMO時代に痛感したことですが、No.1企業にはNo.1だからこその社会的役割があります。「マーケットをつくる」ということです。これはNo.1の企業にしかできません。No.2の目的は必然的にNo.1のシェアをとることになってしまい、自らマーケットをつくることはできないんです。中古+リノベーションという住まい方を“当たり前”にしようとするのであれば、No.1の企業を選ぶしかないと考えていました。

山下
No.1だからこその責任と権利、たしかにその通りですね。

僕は、日本の物件探しの「ルール」を作ったのはリクルートであり、SUUMOだと思っているんです。家を買うときには、築年数を調べて、駅から徒歩何分かをみて、何社に見積りをとって……というように。このルールメイカーとしての知見があるのが今井さんであり、リノベーション時代の新たなルールメイクに、その知見を活かしてほしいと思っています。

コミュニケーションプロセスの進化で、“気の利いた”サービスへ。

山下
リノベるはいま「デジタル・トランスフォーメーション」というキーワードを立て、テクノロジー活用のギアを入れ直そうとしています。特に、住宅購入を検討されているお客様や、〈リノベる。〉でリノベーションすることをお決めになったお客様との「関わり方」をどう変えていけるか。これは創業以来のテーマでもあります。

住宅購入は、非日常の連続です。慣れない物件探しに、住宅ローンの手続きもある。リノベーションの場合、どんな間取り・内装にするかというデザインプランニングも必要です。このプロセスは理想の住まいを手に入れる醍醐味でもありますが、とはいえそれが単なる負担になってしまっては元も子もありません。この部分を、テクノロジーによってより良く変えていけると思うんです。

ただ、こう言うと「効率化」「合理化」の話だと思われることが多いのですが、たしかに効率的にすべきではあるものの、決してそれだけではないというか……

今井
分かります。効率化は結果であって目的ではない。個人的には、「お客様に寄り添う、より気の利いたサービスを」という表現が近いのかなと。

山下
まさに! よりスマートで、本質的で、豊かな住まいの求め方を、テクノロジーの力も活かしていかに実現するか。

今井
コミュニケーションプロセスの進化が、一つのポイントになると考えています。お客様の状況や求めるものをある程度こちらで推定し、レコメンデーション的に提示する。住宅購入のノウハウや住宅ローンの基礎知識といったベーシックな情報提示はもちろん、お客様の個性や属性にあわせて「こういう住まい・住まい方がいいのでは?」という、お客様自身も気づいていないニーズを探り出してご提案できるような仕組みを、ITの力で実現したいんです。

「要望に応える」から「期待を超える」へ。

今井
さらにそうしたお客様ごとの深い情報……生活スタイルや住宅購入を考えるに至るまでの思いやストーリーまで含めて、営業・設計担当者だけでなく施工会社や仲介会社、金融機関の担当者レベルまでもれなく共有できる仕組み。そして、その関係各所が協働できる仕組み。これを実現することで、最終的な住まい提供のクオリティは格段に上がると思います。

そういう意味で僕が本当に実現したいのは、お客様の要望に応えるオーダーメイドではなく、お客様の期待を超えるソリューションと言ったほうが適切かもしれません。例えば、小さなお子様のいるご家族であれば、お子様の成長に応じてライフスタイルは大きく変わっていきますよね。その先々の変化まで見据えた住まい方のご提案ができると、他にはない付加価値が生まれます。これこそ、ITの力をうまく活かしつつ、僕らが提供すべきサービスのあるべき姿ではないかと考えています。

 

リノベーションに関わるすべてのプレイヤーをつなぎ、あらゆる工程をテクノロジーで支援するのが、リノベるの目指す世界。

人の個性・感性とITのバランスを競争優位に。

山下
一方で、リノベるはテクノロジーを盲信したい会社でもありません。住まいを工業製品だと割り切ってしまえば完全な自動化もあり得るのかもしれませんが、果たしてそれでいいのか。僕らがやろうとしている家づくりには、まだまだ人間が介在すべきところがあるのではないか。“属人性”と“再現可能性”の理想的な共存のカタチが必ずあるはずだという思いも、創業以来ずっと抱えてきています。

今井
これは僕の個人的な思いでもあるのですが、人の感性・個性とITのバランスをどうとるか。これが企業の競争優位の源泉になってくると思うんです。テクノロジーでできることをギリギリまで追求した上で、最後の薄皮一枚、人の思いやクリエイティビティによってものすごい付加価値が生まれる、といったことが必ずあると思っています。

まだ絶対的な解は見えていないのですが、一つの鍵は「ヒアリング」にあると思います。お客様がなぜ家を買おうと思ったのかなど、機械だけでは分からないことがあるはず。住まいの場合、意思決定に影響する変数が実に多様で個別性が高い。購入に対してプラスの思いもあればマイナスの思いもあり、また家族や親戚・友人知人など複数人の思いが絡んでくることも少なくありません。極めてプライベートな病気や介護の問題、子育ての問題などもある。

そうしたさまざまな背景を踏まえることなく、クエリに対してシンプルに結果を返すような検索エンジンに近い提案をしてしまうと、期待を超えるアウトプットは生まれません。肝となるヒアリングの部分は、少なくとも現状では、人間だからこそできることでしょう。人のヒアリング能力と、得られた情報を演算処理するテクノロジーの組み合わせに可能性があるのではというのが、現状のイメージですね。

 

画一的な住まいに人が合わせるのではなく、その人に合わせた住まいをつくる。リノベるはあくまで「らしい暮らし」の提供を目指す。

いま、求める人材とは。

山下
いま新たな仲間も積極的に探していますが、これまでの話を踏まえて、どんな方に出会いたいと考えていますか?

今井
僕自身もそうでしたが、ミッションへの共感が一番です。さらに言えば、ミッションの「産業に対する約束」にあるように、「住まいの作り手・届け手にまで視野を広げ」てものごとを考えることができ、「業界の今に対して自己否定をも恐れぬイノベーション思考」を持って仕事に臨める人。

リノベるが挑むワンストップリノベーションの世界は、関係するプレイヤーが社内外を問わず極めて多く、また人生の基盤となる「住まい」を提供するという重みもあり、一朝一夕で事を成すのが難しい領域です。解くべき問いの背景まで理解し、あらゆる関係者を巻き込みながら、課題解決をし続ける必要がある。課題解決をする、のではなく“し続ける”ことが重要なんです。そういう意味でも、自己否定を恐れず、ミッションを絶対的な軸として一緒に走っていける人。自分の手足を使って成長し、チャレンジし続けられる方に、ぜひお会いしたいですね。

 

(後編につづく)

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