「リノベる。」構想のきっかけとは?―事業構想大学院大学にて代表 山下が講演しました。

2018.04.04
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「リノベる。」構想のきっかけとは?―事業構想大学院大学にて代表 山下が講演しました。

住宅領域のスタートアップとして、ビジネス的な観点から取材やインタビューの機会をいただくこともある当社。今回は東京・青山にあるビジネス系の専門職大学院「事業構想大学院大学」様からのオファーで、代表の山下が「リノベる。の事業構想」と題した講演をさせていただきました。

事業構想大学院大学とは?

2012年に開校した専門職大学院。ビジネスを“生み出す”ことにフォーカスした教育課程に特色があり、企業内で新規事業開発に携わる方や起業準備中の方が多数在学されています。

夜間のスタートにも関わらず20名近い方にご参加いただき、質疑応答では多くの方から手が挙がるなど、活気にあふれた時間となりました。今回は、その講演内容の一部を書き起こしでレポートします。

他の業界では当たり前のことが、住宅だけ何故かできていない。

山下:
日本の住まいの現状をご紹介する際に、建築とアパレルを比較してお話させていただくことが多いのですが、建築は、この2018年の今でも、アパレルと比べておそらく20年から25年くらい遅れていると思います。

例えば、ビームスという会社があります。ビームスさんは、日本のアパレル業において何をなされたのか。

かつてのアパレルがどんな感じだったかというと、服が好きな人はデザイナーズブランドで1から10まで揃えていたんですよね。どこどこのブランドが好きだからと、頭から足の先までそのブランドで。一方、興味がない人は量販店で買っていた。大多数はそちら側だったわけです。

そこから、自分たちにあうものを選ぶ……要は、頭の先からすべてデザイナーズブランドで揃えるのではなくて、いろんなブランドを組み合わせたコーディネートを、販売員さんが一緒になって選んでくれるというスタイルを作ったのがビームスです。そこからユナイテッドアローズが出て、いろいろなセレクトショップが生まれ、新しい世界ができた。

今の住宅業界は、セレクトショップ以前のアパレル業界の状況とほとんど変わりません。本当に家が好きな一部の人は建築士の先生に頼み、大多数の人は画一的な作られたものを。“吊るしのスーツ”を着ている感じです。

日本って、ストリートファッションが世界一オシャレだと言われているんですよ。ニューヨークよりもパリよりも。しかし家はどうかというと、つまらない家が少なくないと思うんですよね。白いクロスがはられ、木目が印刷されたビニールの床が敷かれた空間に住んでいる方がほとんどなんです。これは、戦争で家がなくなり一気に家を建てなくちゃいけない、大量生産しなくちゃいけない時代があって、家を化学製品化していった結果でもあります。

その中で、アパレルのように、住宅業界にもセレクトショップを作ろうというところで動いているのが、私たちの考え方です。

「主観的価値」と「客観的価値」を両立した住まいを。

私たちは「かしこく素敵な家」をたくさん作っていきましょうというお話をさせていただいており、それを「主観的価値」と「客観的価値」という2つの軸で整理しています。

主観的価値とは、「素敵である」ということ。自分にとって素敵な家を作っていきましょう、ということです。好みにあわせてオーダーメイドでリノベーションをするので、自分の好きな家を作ることができますよね。

 

一方で、客観的価値。これは「かしこく作ろう」ということですが、一生ものだと思って作ったお住まいであっても、どうしても手放さなくてはいけないタイミングがくるかもしれません。その時、売れなかったら困る。その部分を、私たちは「かしこく作る」というところで担保しようとしています。

どういうことかと申しますと、マンションは新築から20〜30年でだいたい半値になります。もちろん場所にもよりますが、20〜30年で建物自体の価値はゼロになり、土地値だけの評価になるんです。 

ですので、築30年以降の価格は安定するんですよ。要は建物の価値がゼロなので。上下はもちろんありますが、土地の価値は一般的に下がりにくい。築30年以上のマンションを買って自分なりにリノベーションすると、「かしこく素敵に」の両方のバランスがとれた住まいを手に入れることができるわけです。

なぜ日本の住まいは画一的なのか。

かつて私もデベロッパーで仕事をしていたんですけれども、どんなことを考えながらマンションを作っていたのかというと……

10人中8人が「これでいいや」という間取りを作れ。私はそう言われました。

土地を仕入れてきて、何戸入るかを計算するんですね。だいたい200戸が入って1戸3000万円で……と計算していくんですが、そのときに一戸あたりの部屋数が多いほうがいいんです。広さではなくて。2LDKよりも3LDK+S。

もちろん採光の問題などあるんですけれども、少なくともリノベーションで人気の大きな土間があるような間取りなんて、絶対に企画が通らないわけです。それを好む人はごく一部しかいないので。誰か1人でも「これがいい!」というものでなく、10人中8人が「これでもいいかな」「いやじゃないかな」という最大公約数的なものを作りなさいという指導をされました。

マンションは作ってから売るので、売れ残ると大変です。基本的に2〜3年後を予想して作るしかないので、大量供給を前提とすると、どうしてもそういうことになってしまいます。

古いものを、かしこく素敵に活かせる日本へ。

当時の私はゼネコンの仕事に疲れてしまって、休みをとって3ヶ月、フランスのマレというエリアとかオーストラリアとかいくつかの地域を回ったのですが、お金がなかったので先輩の家に泊めてもらったんですね。すると、まったくオシャレじゃなかった先輩たちが、素敵な部屋に住んでるんです。「ここは築200年近い建物で、オーナーと一緒にペンキ買いに行って床を塗ってね」とか、語るんですよ。

イギリスのほうにいっても、同じようなことをしているんですよね。「このテーブルはね」って、急に家具の話をしだしたり。

日本に帰ってきて同じように先輩の家に泊めてもらっても、どこの家も似たような部屋なんですよね。白いクロスに蛍光灯。木目のような床が貼られた部屋。家の話なんてまったく出なくて、仕事のグチか恋愛の話くらい。

なぜこうまで違うのかなと考えていくと、古いものを活かして暮らしている海外と、新しいものを作って「画鋲すら刺しちゃだめだよ」「出るときに価値が下がるから」と教える日本の差。ここに気がついてきたわけです。それならば、海外の考え方を日本に持ってくれば……と考えたのが最初のきっかけです。

 

ただ、古いマンションを買って海外のようにリノベーションしようとすると、すごく面倒くさかったんです。多くの関係者がいて不便だったり、ローンが組みにくくて不満だったり、完成形が分かりにくくて不安だったり。こうした「不」を一つずつとっていけばいいのでは、ということで考えたのが「リノベる。」です。

 


講演の模様が、雑誌「月刊 事業構想」に掲載。

以上、約1時間に及んだ講演のごくごく一部ではありますが、ご紹介させていただきました。その後の質疑応答では、収益構造や組織構成、データ活用や新規サービスの構想など具体的な話題も……。なお今回の講演に関する記事が、3/31発売の 「月刊 事業構想 」(2018年5月号)に掲載されていますので、ぜひお手にとっていただけると幸いです。

日本の住まいの現状や可能性に対して、より多くの方に目を向けていただけるよう、今後もこうした機会を積極的に作っていけたらと考えています。講演等のご依頼・ご相談をいただける場合は、ぜひこちらからご連絡ください。

 

お問い合わせ(取材・講演について)

 

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